【機器の使い方を紹介する古川さん(左)ら=名張市役所で】

 三重県名張市のつつじが丘自治連合会は4月28日、同会がこれまで運用してきた認知症早期発見のためのタッチパネル型テスト機器「物忘れ相談プログラム」一式を市に寄贈した。今後は市地域包括支援センターが活用する。

 プログラムは、認知症研究の第一人者として知られる鳥取大学の浦上克哉教授が考案したもの。図形や単語の記憶、日時や曜日の確認、お金の計算、手紙を投函するまでの正しい手順など、次々に画面に表示される質問に答えることで、認知症の兆候の有無を調べることができる。

 つつじが丘地区では住民の高齢化が進むなか、2015年に機器を導入。地区で認知症予防活動などに取り組んできた古川高志さん(79)が中心となって運用し、これまで近隣地区住民を含む延べ約350人がテスト受けてきた。実際に支援につながるケースもあったという。

 同連合会の本田卓治会長(74)は認知症の母(99)と長年同居し支えた経験があり、「認知症と分かっていても、母が人を泥棒扱いしたりするのが許せず、親子げんかの連続だった」と振り返る。その経験から、早期発見と家族の心構えの大切さを痛感したといい、今後はつつじが丘地区にとどまらず市全域で機器を役立ててもらうのが一番と考え、古川さんらと相談し市に寄贈することにした。

 この日、寄贈のため市役所を訪れた本田会長や古川さんらは「まちの保健室を通して、ぜひ有効に使ってほしい」と機器を市に託した。市は地域のイベントや健康教室、相談会などで活用していく予定。

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