【室生口大野駅(左端)を出発する近鉄電車を駅北側から眺める=宇陀市室生大野で】

 室生口大野から三本松へ

 身近な地域を記者が実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。今回は京・大和と伊勢とを結んできた「初瀬街道」の一部、宇陀市東部の近鉄大阪線・室生口大野駅から三本松駅に至る約4・2キロを歩きました。(取材・山岡博輝)

 4月中旬の晴れたある日、午後1時半すぎに室生口大野駅へ。シャクナゲや紅葉などで知られる室生寺への最寄り駅で、駅前には室生寺行きの路線バスが止まっています。初夏の陽気に包まれ、まずは線路沿いに西へ。川面に散った桜の花びらがゆっくりと流れていきます。

 小学校の付近に大きな常夜灯があり、説明板には1859(安政6)年建立と記されています。民家の軒先にはスズランのような白い花が、道沿いのプランターにはパンジーなどがたくさん花を付けていました=上写真。ガードをくぐり、線路の北側へ。草むらにカラスノエンドウの赤い花がたくさん見え、畑には菜の花でしょうか、白と黄色のじゅうたんが広がり、小さな白いチョウが飛び交っていました。

 駅北側の山手を進み、左手の小高い場所に朱塗りの鳥居と「愛宕大権現」と記されたほこらがあります。道に沿って点々と咲くタンポポの黄色が目に入り、南側斜面はヒノキ林が広がっているようです。

(左)元旅籠の前にある「元三の道標」(右)宿場の面影が残る三本松の街道沿い

かつての宿場町・髭無

 広域農道(やまなみロード)の高架をくぐる辺りから、初瀬街道をなぞって歩きます。三本松の集落へ入ると、行く先に名張の住宅地が見えました。この辺りはかつて「髭無」と呼ばれた宿場町で、昭和初期までは旅籠があり、今も往時の面影が残っています。元旅籠という「ますや」の前にある石柱「元三の道標」は、榛原と名張の中間点を示すものだそうです。

高台にある「三本松」の三代目の木

 その街道筋を見下ろす場所に、「三本松」の地名の由来になった松の木があります。現地の資料によれば、北条時頼公が行脚の際に植えられたと伝わり、根元から三つ股に分かれて成長した大樹だったそうですが、現在の木は3代目で、大きな松ぼっくりがたくさん付いていました。

長命寺境内にある「琴彈峠跡」の碑

 宿場を抜け、線路を越したところにある長命寺へ。境内には「琴彈峠跡」の石碑があります。旧室生東小=写真下=の付近からは、遠くに名張を望みながら、鉄橋を渡る列車が見渡せました。赤い橋の先にある白鳥神社を過ぎ、線路をくぐると、ちょうど列車が通過しました。

 宇陀川や道の駅を一望しながら進むと、正面に三本松駅が見えてきました。出発から約2時間、午後3時45分に到着すると、偶然すぐにやってきた急行列車に乗り、室生口大野駅へと戻りました。歩数計は約6470歩でした。

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