【仕上がった燭台や花台などを紹介する辰巳さん=宇陀市で】

趣ある花器・花台や燭台

 光や雨風に長い間さらされ、朽ちかけた鉄の風合を生かし、滑らかな曲線を描く花器や花台、燭台などのアイアン(鉄)アートを制作する、奈良県御杖村菅野の辰巳和史さん(69)による「朽ち鉄アート展」が、宇陀市榛原天満台東1丁目の「ギャラリー絹衣」で4月20日から26日まで開かれる。入場無料。

 奈良県内で建築資材の会社を営んでいた17年ほど前、さびついて転がっていた鉄板を使って何か作れないかと思い立った。バーナーで焼き、ハンマーでたたいて皿を作ってみたところ、鉄ならではの色合いや質感、朽ちかけている証でもある表面の凹凸などが印象的で、「とても趣のある作品によみがえった」という。

 15年ほど前、それまで住んでいた田原本町から、別荘として使っていた現在の家へ移り住み、工房も設けた。鉄板を細長く切り抜いて断面を滑らかにし、バーナーで溶融する寸前まで熱したら少しずつ曲げていく。初期は切断面のギザギザや荒々しい質感を残した作品だったが、「年とともに丸く滑らかなものに変わってきた」そうだ。「やり直しもきくが、やはりイメージ通りにできたものが一番いい」と苦笑いする。

 花器には小さめの和花がよく似合い、自身も庭の花などを生けて楽しむ。「他の材料ではなかなか出会えない、朽ちかけた鉄ならではの、さまざまな表情を見てもらえたら」と来場を呼び掛けた。

 展示は午後1時から同5時まで。

 問い合わせは同ギャラリーの向山さん(090・6910・2479)まで。

2021年4月10日付793号10面から

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