【軽トラックの荷台にたいまつを載せる講員ら=名張市赤目町一ノ井の極楽寺で】

 東大寺(奈良市)へ修二会(お水取り)で使うたいまつを毎年寄進している三重県名張市の団体「伊賀一ノ井松明講」の講員らが4月12日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になっていた3月12日の「松明調進行事」の代わりに、軽トラックに5荷のたいまつを載せ、1か月遅れで東大寺へ向けて出発した。

 調進行事は700年以上の歴史があり、例年は講員や市民有志、一般参加者らが同市赤目町一ノ井の極楽寺から徒歩で奈良県境の峠を越え、宇陀市室生上笠間からバスなどで東大寺へと向かう。昨年は例年に近い形で届けられたが、今年は2月11日にたいまつを組み上げた後は極楽寺で保管し、感染予防のため3月12日には運ばず、形を変えて後日運ぶことにしていた。

 この日は午前8時30分ごろ、講員9人と、行事に協力する市民団体「春を呼ぶ会」のメンバー2人、極楽寺の中川拓真住職の計12人が車に分乗して東大寺へ向かった。出発前の安全祈願法要で、杉本陛講長は「奈良のほうも(感染者増などで)大変な状況だが、くれぐれも道中は安全に、気をつけて届けてきたい」と講員らに呼び掛けた。

 法要を終えた中川住職は「その昔、山争いでたいまつが送れなかったり、若い人たちが戦地へ送られたりしたこともあったが、(地元の有力者だった)道観長者の遺言通りにきちんと行事を続けてきた。今年もしっかりと届けたい」と話していた。