【國嶋さん(中央)と“武装”した利用客=津市美杉町太郎生で】

震災で「仕事の価値観変化」

 東日本大震災をきっかけに、仕事への価値観が大きく変化したという、三重県津市美杉町太郎生の國嶋崇伯さん(46)は5年ほど前に脱サラし、生まれ育った地元にUターンした。山中の約9000平方メートルの土地を整備し、エアソフトガンで銃撃戦を疑似体験するサバイバルゲーム(サバゲー)施設を経営している。

 電力会社に勤務し、県内各地で電柱工事などに従事してきた國嶋さんは震災後、仕事ずくめだった日々を振り返り、「一度きりの人生。今、やりたいことをやろう」と考えるようになったという。

 40歳の時、米軍の伝説の狙撃手を描いた映画「アメリカン・スナイパー」を鑑賞し、モデルとなった同年代の主人公の壮絶な人生に感銘を受けた。余韻に浸るまま、エアソフトガンを扱う専門店に足を運び、映画に登場した名前の銃を手にしたところ、小学生時代に遊びで使っていたものとは質感や再現度などが大きく進化していることに驚き、思わず購入した。

荒れた土地を“戦場”に

 その後は県内のサバゲー施設に仲間と足を運んだが、次第に「既存施設ではリアリティーが物足りない」と思うようになった。同時にビジネスとしての可能性も感じ、「自分でフィールドを作りたい」と思いを募らせた。

 42歳の時、専用施設を立ち上げるため、思い切って退職。親戚から実家近くの土地を購入し、長年放置され荒れ果てていた山に分け入り、大自然の中の理想の“戦場”を自作していった。草木が繁茂し、起伏に富む地形を生かしたメインフィールドは、バリケードや2階建ての木造小屋などを複数配置。プレーヤーは障害物に身を隠しながら、土に分解されるバイオ弾を撃ち合う。平日でも初心者が1人で気軽に遊べるよう、シューティング専用の区画も設けた。

 施設は「美杉」と「ミリタリースポーツガーデン」の頭文字から「M・S・G」と名付けた。時には客と一緒にフィールドを駆け回るという國嶋さんは「サバゲーはスポーツ感覚で楽しめ、誰しも映画の主人公のような非日常を味わえる。好きなことを楽しみながら送る人生も良いものだと思う」と語った。