【松明を振りかざす「火点」役の僧侶=伊賀市島ヶ原で】

 三重県伊賀市島ヶ原の観菩提寺正月堂で2月12日、五穀豊穣や家内安全などを祈願する伝統行事・修正会の結願法要「おこない」があり、火のついた松明(たいまつ)を手にした僧侶らが堂内で勇壮に達陀(だったん)行法を繰り広げた。

厨子の前に供えられた「節句盛」

 午後1時の太鼓の合図で、菅生和光住職ら僧侶7人と神職2人が入堂。本尊・十一面観音菩薩像が収められた厨子の前で、神職が祝詞を奏上した後、行事に関わる7つの講の代表者(頭屋)と来年の代表者(明頭)が順に献香した。続いて、僧侶の一人が「南無十一面観世音菩薩」と唱えながら板の上に体を投げ出す「五体投地」を行った。

 般若心経が唱えられる中、札を手にした僧侶たちが木の枝で厨子の壁面や柱を激しくたたいて回る「ほぞの木驚覚」と五体投地を繰り返した後、「乱声(らんじょう)」の合図で乱声衆がほら貝やどらなどを鳴らし、続いて各講の頭屋、明頭の名前などが読み上げられた。

「五体投地」を行う僧侶

 開始から約1時間15分、僧侶が下駄で床板を打ち鳴らす音が響き渡ると、「火点」役の僧侶が火のついた松明を、「水天」役の僧侶がサカキと水の入った杯を手に入堂。火点は厨子の前で松明をぐるぐると回し、落ちた火の粉を水天が消していった。

 講の一つ・元頭村(えとうむら)の頭屋、森林昇さん(57)は「コロナ禍ではあるが、伝統ある行事で今年も祈願ができ、無事に終えられて良かった。まずはコロナが収まり、日常が戻ってくることを一番に願っている」と話した。

 例年は大勢の見物人が入り口で行事を見守るが、今年は感染予防のため、行事に関わる講の頭屋や僧侶らのみが正月堂内に入った。