【堂番から浄水を受け取る頭屋=伊賀市島ヶ原で】

 伊賀地域を代表する「春を呼ぶ行事」の一つ「修正会」が毎年2月に行われる三重県伊賀市島ヶ原の観菩提寺正月堂で8日夜、行事の始まりを告げる「お水取り」が行われ、参加する7つの講の代表(頭屋)らが行事の無事を祈願し、奉納する供物の並び順などをくじ引きで決めた。

 同日午後7時、本尊の十一面観音菩薩像が収められた厨子の前に頭屋らが集まり、願解文(がんげもん)の順と、11日に持ち寄って厨子前に奉納する供物(節句盛)の位置、奉納した大餅を12日に持ち帰る順などを決めた。法要が営まれた後、竹筒に入った「浄水」などが頭屋に渡された。

法要で順に焼香をする頭屋

 法要前、菅生和光住職は「大変な状況の中、頭屋を始めとした皆さんの熱意や厚い信仰心のおかげでお水取りを迎えることができた。伝統ある行事をこれからも続けていく新たなスタートになると思う」と話していた。

 例年であれば11日午後に、法被を着て供物を手にした講員らが行列を作り、正月堂に威勢良く練り込む「大餅会式」が行われるが、今年は感染予防のため練り込みはせず、頭屋らが順次持ち込む。12日午後1時からの結願法要「おこない」は、堂内に見物者を入れず、関係者のみで行う。

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