【今年の消防出初式でラッパを吹く隊員たち=名張市鴻之台1】

年始の出初式で初演奏

 地域の防火・防災に携わる消防団員の活動をPRし、団員の士気高揚につなげようと、名張市消防団で昨年、男女7人による「ラッパ隊」が発足した。年始の消防出初式や夏期訓練など、さまざまな場面に登場する予定で、コロナ禍でも飛沫の飛散防止に気を付けながら練習に励んでいる。

 事務局の市消防本部によると、2020年4月1日現在の団員数は条例定数(500人)に60人足りない440人で、近年は社会人の勤務形態の変化や地域的な人口の偏りなど、さまざまな要因で年々減少傾向。しかし、今後想定される南海トラフ地震や、被害が甚大化している豪雨災害など、有事の際に地域防災の要となる消防団員の活動を広め、団員確保につなげたいと、団内部からラッパ隊の案が持ち上がった。

 宮井伸悟班長(58)を隊長として、市内9分団のうち3分団から各1人、女性部から3人の有志が集まり、準備が整った昨年7月から練習を開始。7人中6人は楽器の経験が無く、唇の形で音を吹き分けるラッパを鳴らすだけでも最初は難しかったそうだが、古くから活動している伊賀市消防団上野西分団花垣部のラッパ隊から教わり、1月10日の消防出初式で演奏を初披露した。

ラッパ用マスク自作

 練習では向かい合わずに壁を向き、楽器が吹けるよう開口部のあるマスクを着用。更に、隊員が自作したラッパ用マスクも付け、飛沫を防いでいる。岩木政己団長(68)は「発足から式まで短い期間だったが、コロナ禍でも訓練を重ね、技術を磨いてきた。式では成果が存分に発揮されたと感じている」と期待を寄せる。

 宮井班長は「長い歴史のある名張市消防団でラッパ隊発足に関わり、隊長という大役を担うことをうれしく思うと同時に、責任も感じている。消防の任務に携わる全ての方へ後押しになるよう、熱く強い想いで取り組みたい」と思いを話した。

 県消防協会によると、かつては県内の市町村の多くでラッパ隊が編成されていたが、現在は名張、伊賀の他、津、松阪にもあるという。

2021年1月30日付788号2面から

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