【仕上げた刺繍の作品を手にする細野さん=伊賀市柘植町で】

「パズル解くよう」

 写真と見間違うような、精密な「クロスステッチ刺繍」。伊賀市柘植町の細野素子さん(57)もその魅力にとりつかれた一人で、地元の展覧会などで発表してきた。

 設計図通りに、決められた細かいます目に指定の色の糸を刺し、絵画や写真の原画を再現していく。時間も根気も要し、サイズや布目の細かさにもよるが、1つの作品が完成するまでには数か月かかるという。

 5年ほど前、時間の余裕ができた細野さんは、子どものころ好きだった刺繍を再びやってみようと思い立った。クロスステッチ刺繍は経験が無かったが、インターネットで欧米のキットも気軽に購入できたことから、美しい絵画を描くような世界に引き込まれていった。

複雑でも「ワクワク」

 細かい作業が続く大変さはもちろんだが、夏は手汗で布が汚れ、冬は指先が荒れて糸が絡まるなど苦労も多い。でも「複雑なパズルを解くような楽しみがあり、出来上がった時の達成感、新しい作品を始める時のワクワク感がたまらない」と顔をほころばせる。

 細野さんは「できればオリジナル作品を仕上げてみたいが、今はキットで満足。これからも楽しんで作り続け、できれば来年も地元の展覧会に出展したい」と語った。

2020年12月26日付786号1面から

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