地域の活性化協議会が取り組み

 「薬草のまち」として古くから知られる宇陀市の魅力を、古民家などを利用して全国へ発信しようと結成された同市古民家活用地域活性化協議会が、薬草ツーリズム(体験・交流型観光)を通じて多くの観光客などを呼び込もうとする取り組みを始めた。【古民家を背景に薬草農園で作業をする田中代表(右)とスタッフたち】

 農水省の農山漁村振興交付金を活用したもので、拠点となる施設は同市榛原八滝にある築160年の古民家を改装した「やたきや」。2022年5月の開設を目指しているといい、同協議会代表の田中太見夫さん(59)は「民間主導による成功モデルにしたい」と意気込む。

古民家の内部

 やたきやは4600平方メートルの広大な敷地の高台に建つ、わらぶき屋根の両側面を瓦ぶきにした「大和棟」と呼ばれる木造の平屋。開設に向けて屋根のふき替えやキッチンの改装工事などを行う予定で、完成すれば離れと蔵各2棟に、和室が8部屋、洋室が2部屋となり、一度に10人から15人の宿泊が可能で、露天風呂も設置するという。

 敷地内には薬草と大和野菜を栽培する2千平方メートルの「薬草農園」も広がり、現在はその半分を使って、婦人薬などとして使用されるヤマトトウキやヤマトタチバナなどが育てられている。

 施設の完成後は農村での生活体験や地元の人との交流を図りながら、薬草のまちらしく「薬草摘み体験」などのワークショップを楽しんでもらう予定で、裏山でのシイタケ採りや木こり体験など地元の魅力が詰まったプログラムも企画する。

 また、近くには「千年桜」で有名な仏隆寺や「女人高野」として知られた室生寺などの仏閣や史跡などもあることから、準備でき次第、自転車や徒歩で巡るツアーなども提案したいといい、イベントの情報などはホームページ(https://www.yatakiya.com)を通じて発信していく。

 田中さんは「新型コロナの影響で、当初の予定より延びたが、来春からは定期的にイベントを企画し、フェイスブックなどで参加者を募集していく。宇陀市や旅行会社、地域の方と連携しながら、民間が主導する古民家活用のモデル地区として、人が集う元気なまちづくりに貢献できれば」と抱負を語った。

 問い合わせは同協議会事務局(0745・85・3650)まで。

2020年12月26日付786号10面から

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