幼子らの成長を願って矢を射る伝統の「若子祭」が1月9日、名張市滝之原の八幡神社であった。かみしも姿の地元住民が片肌を脱ぎ、寒空に向かって歩射を繰り返した。【空に向け矢を放つ弓取人ら=名張市滝之原で】

 地区で前年に誕生した男児と迎え入れた婿養子を「若子」とし、無病息災を祈る神事。700年以上の歴史があるとされ、県の無形民俗文化財に指定されている。人口減少や少子化の波を受け、対象となる若子は4年連続の不在となり、今年も地域の五穀豊穣や健康安全などを祈願した。

 社殿での神事の後、「弓取人」に選ばれた6人の男性が、神社前から田んぼを隔てて約70メートル先の山の斜面にある約1・5メートルの的に向け、代わる代わる計36本の矢を放った。あえて当てないのが習わしで、見物人らは矢の行方を見守った。

 弓取人の中で最年長の藤原寿史さん(65)は「地域の皆さんが健康に一年過ごせるよう、願いを込めて矢を放った。一日も早くコロナが終わってほしい」と話していた。