名張市富貴ケ丘出身の総合格闘家、昇侍=本名・丸山昌治=選手(37)(トイカツ道場所属)は、9月にあった国内最大級の総合格闘技の大会「RIZIN(ライジン)24」でライジンバンタム級王者の朝倉海選手と対戦。敗れたものの、真っ向から挑んだ姿は地元にも勇気を与えた。【ジムで汗を流す昇侍選手=名張市蔵持町原出で】

 比奈知小、名張中学から山梨県の高校へ“野球留学”。高校卒業後は航空自衛官として勤務しながら、格闘技を極めようと決意。

 プロデビューは2006年。同年10月に格闘技団体「パンクラス」で、山本“KID”徳郁選手の持つ世界最短記録の4秒を塗り替える3秒でKO勝ちした。08年にはライト級キング・オブ・パンクラスでロシア軍特殊部隊出身のアルトゥール・ウマハノフ選手を下し、初代ライト級王座を獲得した。

 30歳のころから約4年間、けがで離脱したが、現役に復帰。ずっと夢だった「ライジンに出場したい」と口にしても「一度離れた人間には無理」と言われたが、リングに立てる日を信じていた。

 チャンスは突然やってくる。大会の3週間前、朝倉選手の対戦相手として出場依頼が舞い込んだ。いつでも試合に臨めるようトレーニングを欠かさず続けていたこともあり、急な依頼でも快諾した。

 試合では、自身のテーマ曲でもある「よっしゃあ漢唄」のパフォーマンスで入場し、会場を沸かせた。得意とする至近距離で戦う戦略を立て、乱戦に持ち込んだが、距離を取ってきた朝倉選手の追撃に遭い、惜しくもレフェリーストップで試合終了。KO負けを喫したものの、その姿は多くのファンに感動を与えた。

 大会は生中継でテレビ放映されたこともあり、地元の人たちから激励の声も多数届いた。「ずっと応援してもらっているし、その感謝のメッセージを生まれ育った故郷にどうしても届けたかった。今回、コロナ禍でなかったらチャンスは来なかった。どんな災難も自分の心一つ。何事も諦めずに思い続けてほしい。また大きな舞台立てるよう頑張りたい」と現役続行を誓った。

2020年12月26日付786号11面から

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