「風と土のふれあい芸術祭in伊賀2020」の一環として、芸術家の制作過程を見学できる企画「アーティスト イン レジデンス」が開かれている。今年は京都市在住のノブコ・ウエダ(本名・森伸子)さん(68)=写真=が8月中旬から矢持地区の民家を借り、地区市民センターで2つの立体造形作品に取り組んでいる。

 一つは「レジリエンス(再生)―水の記憶」という作品。会場から程近い川上ダム(建設中)の水没予定地にあった民家の石垣から発想し、現地の石を使って、かつて暮らしていた人たちへの思いを石垣として再現した。更に船の形に石を組み、新しい所へ向かう「船出」のイメージも表現したという。

 もう一つは「レジリエンス―大地の記憶」。着物の長じゅばんを土台に、地元で採った植物をたたいて肺の形にして染め、伊賀くみひもで作った血管や心臓を飾って人体を表現。これも同様に、和紙で作った船を添え、将来への希望に満ちた「船出」を表している。

 ウエダさんは「伊賀の地で見つけて感動したことを、この地で作品にした。一人でも多くの方に見に来て頂けたら」と来場を呼び掛けた。完成品は市民センター3階音楽室と裏庭を中心に展示予定。

 制作の様子は10月17日までの午前9時から午後5時まで見学可能。作家の休養日や休憩時間は不定。

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2020年10月10日付781号17面から

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