コロナ禍による「巣ごもり消費」を追い風に、ホームセンター業界の各社が業績を伸ばしている。伊賀地域でもかねてから計画されてきた新店が進出するなど、“ホームセンター伊賀の乱”の様相を呈した新局面を迎えている。【DCMカーマ上野店跡で工事が進むコーナンの店舗=伊賀市服部町で(8月21日撮影)】

 経済産業省の商業動態統計速報によると、ホームセンターの6月の売上高は3148億円で、前年同月比17・3%増。店舗数は2月から、前年同月比増減率は3月から右肩上がりと業界全体が好調だ。

伊賀・コーナン開店で4社

 全国展開する主なホームセンターについて見ていくと、伊賀市では、2019年8月に閉店したDCMカーマ上野店(服部町)跡地に今年9月、近畿圏を中心に「コーナン」を展開するコーナン商事(本社・大阪市)が出店する。同社は2006年に名張市にあった店舗を撤退させて以来、14年ぶりの伊賀地域再進出。奈良市内から鈴鹿市内までの同社の空白地域への出店で、IR広報室の担当者は「競合が手薄であったため。資材商品を強化し、ペットコーナーを設ける」と取材に答えた。

 伊賀市内で3店舗を展開するコメリ(本社・新潟市)は、上野店(小田町)を18年に大型業態の「パワー」ブランドに転換。小型店の「ハード&グリーン」を新堂と青山羽根にそれぞれ構える。九州地盤のナフコ(本社・北九州市)は16年には上之庄の国道368号沿いに伊賀店を出店し、ホームセンターの一部機能を併せ持つ大型商業施設「PLANT」(本社・福井県坂井市)は18年にゆめが丘1に出店。17年にケーヨーデイツー(本社・千葉市)、19年にDCMカーマ(本社・愛知県刈谷市)と撤退が続いた伊賀市だが、今後は4つ巴となりそうだ。

名張・激戦区の蔵持中心に

スーパーなどの建設が進む名張市蔵持町里の武道交流館前。写真奥の土地にホームセンター出店計画の話もある

 名張市では、LIXILビバ(本社・さいたま市)が00年に瀬古口に大規模店展開の先駆けとなる「スーパービバホーム」を出店しており、同社は日本海側を中心に「ムサシ」を展開するアークランドサカモト(本社・新潟県三条市)と今年中に商業提携する予定。ナフコは11年に鴻之台1に家具店「ツーワンスタイル」を併設した名張店を出店しているが、商業施設の出店が続く近くの蔵持町原出には、ジュンテンドー(本社・島根県益田市)が1994年から同社として最東端に位置する店舗を持つ。

記事中の各社店舗位置関係

 業態は異なるが、今年2月には家具製造販売大手「ニトリ」(本社・札幌市)が夏見から蔵持町原出への移転を完了。近鉄線を隔てた北西側の蔵持町里では、市武道交流館いきいき南区画で食品スーパーなどの建設が進んでいるが、北東側の区画にはホームセンター出店計画の話もあり、名張市内は〝激戦区”の蔵持地区を中心に火花が散りそうだ。

 ホームセンター同様、好調のドラッグストアも近年、伊賀地域に相次ぎ出店しており、日用品販売で競合。ホームセンター各社とも、品ぞろえや売り場づくり、価格戦略など独自性を打ち出しながら生き残りを目指している。取材したある社の広報担当者の1人は「伊賀地域は日本の真ん中。東西の各社とも存在感を高めようと、差別化を図り、切磋琢磨している」と話した。

2020年8月29日付778号1、25面から

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