2020年度から5年間、名張市内の市総合体育館(夏見)を始め14施設の指定管理者となった「マツヤマSSKグループ」。地元企業「マツヤマスポーツ」(木屋町)とスポーツ用品メーカーの「エスエスケイ(SSK)」(大阪市)がタッグを組み、スポーツを通じた地域振興を目指す。【地域振興を目指す高橋館長(中央)ら=名張市夏見で】

 昨年10月にあった指定管理者選考委員会では、応募3社の中から、維持管理や経費縮減案、小規模補修を担う意欲などが評価され、同グループが選ばれた。今年4月に前任者から業務を引き継いだが、同月中旬、新型コロナウイルス感染症の影響で、臨時休館を余儀なくされた。

 指定管理の中心となる名張中央公園内の体育施設の大半は建設後40年以上が経過し、老朽化も目立つ。再開が見通せない中だったが、同グループは施設整備の好機と捉え、競技場の床の一部張り替えや倉庫内の整頓、空きスペースを活用した女性専用スポーツジムの開設など、次々に計画を実行。グループの自己負担で出来る範囲内で、施設の細かな環境改善を進めた。

 残るのは、大規模な改修が必要な施設だ。特に9面ある市民テニスコートは、3面分の芝の状態が悪く危険で、今年2月から利用が禁止され、再開には大がかりな工事が必要となる。年間約2万8000人が利用していたが、比較的人気が高かったコート3面が利用できなくなった影響で、この月のテニスコート利用者数は前年より約16%減少したという。

 同体育館の高橋政実館長(46)=マツヤマスポーツ=は「利用者から『早く使いたい』と要望があるが、予算がいつ付くか分からない。クラウドファンディングのような他の資金調達法の活用も含め、市に提案していきたい」と意欲を語る。

 SSKは2年前に東大阪市と協定を結び、ラグビーを通じた体験型イベントを展開するなど、実績がある。更に、20人以上のプロ野球選手とアドバイザー契約を結び、子ども向けの野球教室も各地で開いている。

 マツヤマスポーツは伊賀地域のスポーツ用品店として長年事業を営み、スポーツジムなども展開してきた。グループを形成し、市体育施設の指定管理者となった2社だが、一方は地元のネットワーク、もう一方は業界内での信頼や実績を生かし、それぞれの役割を担う。

 高橋館長は「市民の皆さんがもっと気軽に足を運んで頂けるよう、2社が力を合わせ、魅力的な体育施設を作り上げたい」と話した。

2020年8月8日付777号6面から

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