名張市出身の探偵小説家、江戸川乱歩(本名・平井太郎、1894‐1965)が三重県を題材に記した文章を収録した随筆集「うつし世の三重」を伊賀文学振興会が出版した。【随筆集を紹介する振興会の関係者ら】

 乱歩は父の転勤によって生後8か月で亀山、2歳半で名古屋に移った。早稲田大を卒業後、23歳で再び三重県に戻り、鳥羽の造船所に就職。翌年、鳥羽港近くの坂手島で小学校教師をしていた女性と出会い、東京に移って25歳で結婚。その後、29歳の時に「二銭銅貨」で作家デビューした。

 随筆集はB6変型判168ページ。名張時代の家族の様子や、藤堂藩に仕えた平井家の祖先、鳥羽で働いた日々、妻と結婚に至るいきさつなど、乱歩が24歳から69歳までに記した70編をまとめ、同振興会会員で名張市在住の郷土史家、中相作さんが編集した。タイトルは、乱歩が好んで色紙に書いたという句「うつし世はゆめ、よるの夢こそまこと」にちなむ。この句は同市新町にある乱歩生誕地碑にも記されており、1956年の除幕式に乱歩自身が参列した際の様子を記した文章も収めた。

 1冊2200円(税別)で1000部限定。伊賀地域の書店を中心に販売している。

 問い合わせは上野印刷(0595・21・0801)まで。

2020年7月25日付776号2面から