「お父さんの意志を継いで、市内のアートを盛り上げたい」。伊賀市上野丸之内で「ギャラリー是空」をオープンした司法書士の杉野勇二さん(50)と薫さん(48)夫妻。記念すべき1回目の展示は、昨年12月に82歳で亡くなった薫さんの父、吉田仁一さんが描き溜めた思い出の作品が初めて並ぶ個展だ。【吉田さんの作品を手にする杉野さん(左)と薫さん=伊賀市上野丸之内で】

1回目は亡き父の初個展

 吉田さんは幼少のころから絵画好きで、定年後、本格的に油絵やアクリル画の制作に励み、名張市内の絵画サークルでも精力的に活動していた。病を患い闘病生活が続くなか、筆を握る吉田さんの姿を見ていた2人は、「今まで飾られることもなく、ずっと家に置かれたままになっている絵をたくさんの人に見てもらいたい」と感じた。

 転機は昨年6月。杉野さんの事務所の移転に合わせ、1階にギャラリーを併設することにした。計画時、吉田さんは、「ギャラリー業は長い目で見ないといけない、うまくいくかな」と心配そうだったが、建設が決まると一転、2人に展示スペースの間取りや設計についてアドバイスをするなど意欲的になったという。

絵を描く生前の吉田さん(提供写真)

軌道に乗せ 懸け橋に

 昨年末、般若心経の「色即是空」にちなみ名付けたギャラリーが完成したが、その2週間前に吉田さんは帰らぬ人となった。杉野さん夫妻は「完成を見てもらうことができず残念」と悲しみながらも、運営を軌道に乗せるため、他のギャラリーや美術館に足を運び、芸術について学んだ。

 今春オープンする予定だったが、新型コロナウイルスの影響で、7月中旬に延期になった。展示会では、吉田さんが生前に制作した風景や果物などがモチーフの油絵やアクリル画を40平方メートルほどの室内に約35点並べた。内覧会も兼ね26日(日)まで展示する。時間は午前11時から午後5時まで。

 杉野さん夫妻は「この場所は今後貸し出していく。アーティストと社会の懸け橋となれば」と話した。

 問い合わせは同ギャラリー(0595・21・8818)へ。

2020年7月25日付776号1面から