伊賀市の中央部を東西に流れる久米川。春になると、同市久米町の上之平橋から子安橋にかけて約200メートルの両堤防を約90本の桜が彩り、訪れた人たちの目を楽しませる。【開花した「野がけ桜」を見つめる米井さん=伊賀市久米町(2019年4月撮影)】

 桜並木の歴史は、35年前にさかのぼる。近くに住む米井淳文さん(65)が、元自治会長に植樹を依頼されたのがきっかけ。苗木は会長の勤務先だった上野公園(同市上野丸之内)に植樹した残りで、近くの畑で育てていたもの。結婚したばかりだった米井さんは、「記念になるなら」と快諾した。

 仕事の合間に約3か月かけて川の右岸に17本を植え、翌年、翌々年もそれぞれ17本を植樹。その間、長女と長男が続けて誕生するなど、米井さんにとっても子どもたちの“誕生記念”の植樹となった。

 数年後、ボランティア団体から「ソメイヨシノ」の苗木の無償提供があり、地元有志10人ほどで、対岸を中心に約50本を植え、両岸合わせ約100本となった。台風などで倒れた木もあったが、地元の人が「八重桜」を植えたこともあり、今では約90本の桜が春の息吹を届けている。

 20年ほど前から、桜並木を見に気軽に出掛けてほしいという思いから、開館しているまちかど博物館と同じ「野がけ」を冠して「野がけ桜」と呼び、堤防の草刈りや桜の枝切りを担ってきた。今は成人した長男とともに作業し、見守っている。

 「私以上に子どもたちが、桜の成長の様子を自分の成長と絡めて感じてくれたらうれしい」と米井さん。「桜が終われば若葉の季節となるが、それもまた癒やされる。ぜひ多くの人に堪能してほしい」と語る。

2020年3月28日付 768号 2面から