「悔いのない試合を仲間に見せたい」。格闘の世界からの引退を覚悟して移住した伊賀から、再びリングに立つ決意をした、キックボクサーの「KING強介」こと安田強介さん(35)。2月29日に後楽園ホール(東京都文京区)で開かれる大会「REBELS‐RED 55・5キロ級王座決定トーナメント」で復活の拳に力を込める。【2018年4月の「REBELS.55」でタイトルマッチを戦う安田さん(右)=東京都文京区の後楽園ホールで(安田さん提供)】

伊賀での新たな生活 ジム仲間が後押し

 神戸市出身。キックボクシングを始めたのは26歳の時で、翌2011年7月にプロデビュー。当時所属していたチームは「強者ばかりで、練習ではいつも打ちのめされていた。試合の方が楽だった」と笑う。

 その言葉通り、試合では連戦連勝を重ね、ホーストカップ初代バンタム級チャンピオン、MA日本バンタム級王座を獲得。18年にはREBELS‐ムエタイスーパーバンタム級王座も手にするなど絶頂を極めた。

引退よぎった連敗

 ところが翌年、フリーとなって初めて挑んだ試合で判定負け。更に背水の陣で挑んだ次の試合も判定負けと、まさかの連敗。引退も頭をよぎるなか、4人の子どもたちとともに、妻の実家がある伊賀市印代へ移住し、同時に、宮大工の世界に飛び込み、新しい生活をスタートさせた。

 環境にも慣れ、伊賀上野ボクシングジム(同上野西大手町)で練習を続けていると、噂を聞きつけた20代の若者たちが「チャンピオンに教えてほしい」と集まってくるようになった。そんな時、今回のトーナメント出場の依頼が舞い込んだという。「ともに練習する若い人たちに、環境が整わなくても頑張れば勝てる、ということを見せたい」と出場を即決した。

 安田さんのトレーニングは、仕事が終わってから、同ジムやスポーツセンター、また京都や大阪に出向くこともある。地元の運動公園では、指導する若者たちと一緒に走り込み、試合に向けて体を絞り込んでいる。「もっといい舞台、上の舞台を仲間とともに見たい。そのためにも、絶対勝ちたい」と決意を話した。

ジム仲間と汗を流す安田さん(中央)=伊賀市上野西大手町で

2020年2月8日付 765号 2面から