名張市内で唯一営業している銭湯「新町温泉」(同市新町)を守る脇本俊彦さん(83)は、働き者が多いと言われる子年生まれ。くみ上げた井戸水を毎日まきで沸かし、地域の人たちを癒やしている。【湯加減をみる脇本さん=名張市新町で】

 創業は1873(明治6)年で、脇本さんは4代目。かつて市内旧市街地に9件あった銭湯も現在はここだけだ。

 脇本さんの1日はフル回転。午前8時半から燃料となるまきを調達。毎日5時間かけて運ぶ。11時には妻の道世さん(80)がボイラーの火入れを開始。浴槽に湯を送って満タンにすることを5回繰り返す。

 午後4時のオープン後は沸かし番を道世さんに任せ、脇本さんは番台に立つ。午後9時の営業終了後も大変だ。約1時間かけて浴場内を掃除。タイルがめくれていたりすると修理する。夜中の3時までかかることもあるそう。それでも「ええお湯やった」「命の洗濯ができた」と言ってもらえるのがうれしくて続けている。

 3年前の熊本地震後、「ライフラインが止まる中、入浴ができず、20日ぶりに入浴できた時のありがたさは、一生忘れられない」ということを聞き、避難者の入浴の必要性を痛感。そんな中、全国浴場組合の協力を受け、風呂が無い高齢者や災害時に避難者が入浴する機会を確保するための利用促進で、銭湯を存続させるために動き、昨年から毎月第3木曜を市民対象に入浴無料にしている。

 脇本さんは「体力が続く限り、今の設備がアウトにならないうちは頑張りたい」と力強く語った。

2020年1月25日付 764号 11面から