「あなたが夢に向けて努力していることを願っています」―。中学3年の授業で二十歳の自分宛てに書いた年賀状が、5年の歳月を経た今年の元旦、それぞれの手元に届き、新成人として踏み出した背中を押している。【年賀状を手に友人たちと記念撮影する岡村さん(右)と服部さん(左から3人目)=名張市で】

夢への背中押す言葉

大原一成さん

 年賀状が届いたのは、名張市立桔梗が丘中学校を2015年に巣立った第47回卒業生たち。14年12月、非常勤講師として3年生の国語を担当していた大原一成さん(66)(松阪市在住)の授業で書いたのがきっかけ。約80人分の年賀状は大原さんが預かり、昨年末、現住所が分かった75人の年賀状を1通ずつ封書に入れ、元日の朝に届くよう郵送した。

服部さんの年賀状

の授業で書いたのがきっかけ。約80人分の年賀状は大原さんが預かり、昨年末、現住所が分かった75人の年賀状を1通ずつ封書に入れ、元日の朝に届くよう郵送した。

 鳥羽商船高等専門学校5年の服部達人さん(19)(名張市桔梗が丘西)は、年賀状が届いた一人。当時は受験で不安な時期を送っていたといい、「14歳の自分は日々、面接の練習に励んでいる」とつづった。幼いころから「海に関わる仕事に就く」のが夢で、航海士を目指して進学。専門知識など学ぶことは多いが、充実した日々を過ごす。年賀状にも「航海士になりたい」と書いていた。「大変な道だけど、頑張っていきたい」と、1月12日にあった成人式には胸を張って出席。9月の卒業後は、航海士としての第一歩を踏み出す。

恩師へ「ありがとう」

 専門学校生の岡村咲良さん(20)(同)も「進路が全く決まらず、迷っているしんどい時期だった」と当時を振り返る。年賀状の文面からも、焦っていた様子がうかがえるという。器械体操を習い、スポーツインストラクターへの道を選択。名張西高校を卒業後はインストラクターを養成する専門学校に進み、今春からスポーツ関連施設に就職も決定。夢を実現する。

岡村さんの年賀状

 「皆、ドキドキして年賀状を待っていた」と岡村さん。母親から引き継いだ振袖で成人式に臨み、「子どもたちに体操の楽しさを教えられるコーチになれるよう頑張っていきたい」と笑顔を見せた。

 5年近く年賀状を預かっていた大原さんは、教え子たちから「ありがとう」の声が届く中、「最終は75人ではあったが、無事にお返しできてホッとした。これからも夢に向かって進んでほしい」とエールを送った。

2020年1月25日付 764号 1面から

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