ハシボソガラスのぶら下がり、ダイサギの転倒シーン、カワセミとヤマセミのツーショット――。名張市緑が丘中の朝倉啓介さん(82)が、自然界の決定的瞬間を収めた写真集「名張の自然観察写真帳」を発刊した。【(左写真)尾が長いサンコウチョウ(朝倉さん提供)、(右写真)出来上がった写真集を手にする朝倉さん】

 A4判74ページ。野鳥をメインに、昆虫や植物、風景など6つに分類し、名称や場所、撮影日などの一覧と、468枚の写真に説明文を付けている。

 「撮影は全て我流。美しいもの、珍しいものを撮って楽しんできた。現在の名張の自然を後世に伝え、自然の大切さと自分が生きた証を、元気なうちに記録に残しておきたかった」と発刊を決めた。

アユをくわえたダイサギ(朝倉さん提供)

 大阪市出身で、物心ついてから高校生まで津市で過ごす。幼いころから動物が好きで、いろいろな生物を飼育していた。20代の初めには、リコー製の二眼レフカメラを手に入れ、バイクで撮影に出掛けていた。大阪市にあるゴム製品の商社に勤めていた38歳の時、名張市にマイホームを購入。「自然がいっぱいで、『ええとこに来たなあ』とうれしくなった」と話す。

 退職後の趣味として、息子からパソコンを勧められたのをきっかけに、デジタルカメラを使った撮影を本格的に始め、4年前に体を壊すまでは、ほぼ毎日撮影に出掛けていた。キジやヤマドリなどの野鳥は、山中を歩き回って後を追い掛け、鹿やイノシシなどは目の前に来るのをじっと待って撮影するそうで、市の鳥獣保護員を務めたことや、40年余り続けていた狩猟経験が役に立ったそう。

 「最長で5時間ほど待ったこともある。ニホンジカの親子の撮影は苦労したが、じっと待ち構えていて、出てきた時の喜びは何物にも代えがたい」と振り返る。「今は大仕事を終えた気分。これからは写真の整理などに時間を割くつもり。もう少し暖かくなってきたら、またぼちぼち撮影に出掛けたい」と笑顔を見せた。

 写真集は、市内の小中学校、図書館などに寄贈される他、希望者には販売もする。1冊2千円(税込み、送料別)。

 問い合わせは印刷元の青山文芸社(0595・52・0627)まで。

枝に並んだカワセミとヤマセミ(同)

2019年12月7日付 761号 2面から

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