名張市新田の美波多神社では、1月1日午前0時から、同市の上小波田地区で作る「火縄」を使った新しいお守り「火除守」の頒布を始める。初穂料500円、100体限定。【「火除守」を持つ佐久真宮司(左)と岩嵜会長=美波多神社で】

年明けに限定頒布

 長さ約55センチの火縄の一端をあぶって2重の輪を作り、中央に札を付けた、火除けのお守り。封入する台紙を含め、同神社の佐久真みゆき宮司(43)が自作した。

 同地区の火縄作りは江戸時代から続き、「上小波田火縄保存会」が技術を継承、今年4月に市の無形民俗文化財に指定された。例年12月に京都の八坂神社へ奉納し、年越し行事「をけら詣り」で参拝者が灯籠の火を持ち帰る際に使用されている。

竹をなたで削る火縄作りの作業(2017年撮影)

地元の人の手に

 美波多神社とは、1910年に同地区の氏神、福田大神が合祀され、つながりも深い。佐久真宮司と同保存会の岩嵜義孝会長(70)が、「地元の火縄をどうにか活用できないか」と話し合いをするなか、「をけら詣り」で参拝者が使用後の火縄を火除けのお守りにしていることを聞いた佐久真宮司が、今回のお守りを考案した。

 岩嵜会長は「今までは京都の人の手に渡っていたが、美波多神社のお守りになれば地元の人にも火縄に触れてもらえる」と喜び、佐久真宮司は「台紙のデザインは火縄の材料の竹をイメージし、裏には上小波田の火縄の説明文を加えた。地域おこしに一役買えたらうれしい。人気のお守りになれば」と期待を込めた。

2019年10月26日付 758号1面から

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