近年の気温上昇の影響を受け、伊賀地域の米作りの現場では、コシヒカリなど従来の品種が白濁などの高温障害に悩まされるケースが増えてきている。伊賀市川東の北出茂樹さん(65)は、高温障害に強い新品種米「三重23号(結びの神)」の栽培に力を入れている。【コンテスト入賞の賞状を手にする北出さん=伊賀市川東で】

 10年前、退職して実家の農業を継いだ北出さんは当初、コシヒカリを中心に作っていたが、近年は高温障害に苦しんでいた。さまざまな品種を試すなかで、県農業研究所が開発した「三重23号」が好適と知り、2年前に栽培を始めた。

 県によると、同品種の県内の作付面積は、最も多いコシヒカリの1%程度に当たる190万平方メートル(2018年度)。伊賀地域では北出さんを含む20事業体が生産し、少量ながらも生産量は年々増えつつあるという。コシヒカリに比べて粒が大きく、味はやや淡白だが、白飯はもちろん、カレーや丼ものにも向いているそうで、現代の食習慣によく合うという。

国際コンテスト入賞

 北出さんは昨年、米の検査・研究に携わる企業が主催し、食感や完全粒率などの数値で評価する「炊飯・米飯商品米 国際コンテスト」に自家栽培の三重23号を出品し入賞。「これまで作っていたコシヒカリより一等比率が高く、大きい粒は消費者に人気がある。これからもおいしい米を作り、皆さんにお届けしたい」と語った。

 県産米のPR活動にも熱心な北出さんは現在、大阪や名古屋の米穀店に直売しているが、今後はインターネット販売にも力を入れていくそうだ。

2019年10月12日付 757号 21面から

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