「貯めていたエネルギーがようやく解放された感じ」。伊賀市御代の陶芸家、安永正臣さん(37)は、米国で開いた個展を機に、活躍の場を海外に広げようとしている。【作品を紹介する安永さん=伊賀市三田の工房で】

海外にも出展し好評

 大阪市生まれで、小学生から名張市すずらん台で育った。中高時代はバスケットボール部に所属するスポーツマン。転機は名張西高時代に友人と訪れた大阪産業大学工学部環境デザイン科のオープンキャンパス。抽象的な作風で知られる陶芸家、星野暁教授の作品に衝撃を受けた。

 指跡で作られた約2㍍もある作品は、「一つの世界を作って佇んでいた」。「作った人に会ってみたい。この大学で学びたい」と進路を決めたという。

 在学中は星野教授に師事を受け、大学院にも進学。卒業した24歳の時、伊賀市山畑の古民家に拠点を構え、作陶活動を始めた。翌年、「伊賀焼陶器まつり」に初出展したのを機に、個展やグループ展を年に数回開くようになった。2013年には結婚を機に現在地へ転居した。

 8年前から粘土を使わずゆう薬を手びねりした独特な手法を採り入れ、3年前からオブジェ作品を中心に制作。中国や台湾での作品展に出品してきた。

 今春、日本人の芸術家を専門に紹介する米国・ロサンゼルスのギャラリーから個展依頼が突然舞い込んだ。6月から約1か月半開かれた個展は、約60点の作品が完売するほど反響が大きかったという。

 この個展の成功を受け、11月にはスイスやカナダ、来春にはメキシコなどでの個展も決定。現在は、昨年から同市三田に構えた工房で、海外での展示会に向けた制作に没頭する毎日だ。

 忙しい中でも家族とともに囲む夕食の時間は大切にする。「隣の人が笑ったらいいな」という気持ちが根本にあるといい「鑑賞者の心を動かせるような作品ができたら」と笑顔を向けた。

2019年9月14日付 755号 1面から