たくさんの愛に支えられていると実感。力まず生きていこう―。脳梗塞で倒れた伊賀市柏尾の杉澤和代さんが、半年にわたる闘病生活をつづった手記「もう、愛されていいよ」を自費出版した。明るく楽しくつづられた日々と「肩の力を抜いて生きよう」とのメッセージに、手にした人から「逆に元気をもらった」と笑顔の連鎖が始まっている。【自費出版した手記を手にする杉澤さん=伊賀市柏尾で】

 2017年の6月、職場で倒れ救急搬送された。医師の診断は脳梗塞の一種「ワレンベルグ症候群」。重度のえんげ障害で水一滴飲めない状態になった。温痛覚障害や失調、顔面まひを発症。その日から計半年間にわたる入院生活が始まった。

 救急搬送後、2か月後にはリハビリ専門病院へ転院し、日常生活を取り戻すためのリハビリがスタート。転院後すぐ、食べる練習を開始。4か月後、鼻から直接胃につながる経管栄養のチューブが取れた時は泣きそうになるくらいうれしかった。1食に1時間くらいかかり、食べることでクタクタだったそう。

 目標は「うなぎを食べること」と頑張り、半年後に退院。翌年5月には念願のうなぎを、完食はできなかったものの、堪能することができた。

 苦しい中でも「幸せな病院の日々を残しておきたい」と入院中の思いを手記としてまとめ、いつかは本にしたいと思っていた。退院から1年、一度は諦めていた自費出版の話が浮上、入院中に撮影した写真を交えながら、今年4月初旬に、知り合いの出版社で電子版を出版、6月中旬に製本した。

 病気を機に頑張りすぎるのをやめると、人間関係も変化してきたという杉澤さん。これからは「人の心に触れる人生、寄り添える人生を過ごしていきたい」と穏やかな笑みを浮かべた。

 手記はB6サイズ、115ページで千円(税込)。名張市内のブックスアルデ各店や伊賀市の岡森書店白鳳店などで販売している。

2019年8月24日付 754号 15面から