元号「令和」の典拠ともなった日本最古の歌集「万葉集」を読み込み、墨と顔彩で表現している、伊賀市出身で大阪府高槻市在住の書画家、福川於良さん(82)=写真=による恒例の作品展「おりょうの万葉浴 夏の筆すさび書画展」が8月24日から29日まで伊賀市のギャラリーで開かれる。

 栄養士の勉強をしていた短大時代、たまたま聴いた万葉集の講義が発端となり、広く民衆の心の叫びも収められた4516首の万葉集の世界に興味を深めていった。今も愛用している全集には、今の年齢にして悟ることを書き込んでいるといい、各地にある万葉集ゆかりの地を巡った写生帖も山積しているそうだ。

 四季の喜び、苦悩に耐え、生業に勤しみ、家族を思うーー。時々の心情の赴くままに筆を走らせる。庭で採れた赤カブを描き、大伴旅人の「世の中は 空しきものと 知る時しいよよますます 悲しかりけり」という歌を画賛した作品もある。

 大阪で書画教室を開く傍ら、個展も約40年続けてきた。今回は約80点を展示予定で、福川さんは「いつ、どこで、どんな人たちが、どんな思いで詠んだのか。万葉の時代に思いをはせ、その世界に浸ってもらえたら」と話した。

 作品展は伊賀市上野福居町のギャラリー「アートスペースいが」で午前11時から午後6時(最終日は同4時)まで。入場無料。

 28日午後3時からは「榎並久実子ミニコンサート 日本の歌をうたう」を開催。入場無料、要予約。

 問い合わせは、同ギャラリー(0595・22・0522)、または福川さん(072・694・3123)まで。

2019年8月24日付 754号 11面から

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