映像制作会社「第三制作」代表でディレクターの森哲也さん(37)(名張市西原町)らが手掛けた番組「NHKスペシャル 見えないものが見える川 奇跡の清流 銚子川」が、2019年の科学ジャーナリスト賞で大賞に輝いた。受賞について「川を見つめ、生き物の営みを知ることから本当の環境保護が始まる。番組が『ジャーナリズム』として評価されたことが何よりもうれしい」と喜びを語った。【番組収録時にカヌーを浮かべた銚子川(森さん提供)】

清流で見つめた命の営み

 同賞は、科学技術に関する報道や出版、映像などで優れた成果を上げた個人や団体を「日本科学技術ジャーナリスト会議」が表彰している。今年は森さんらと金沢工業大学が開いた希少書籍の展示事業が、1次選考を通過した12の候補から大賞に選ばれた。選考では「映像が美しく、見る人を引き込む力がある」と評価された。

【発刊する書籍を手にする森さん=名張市で】

 番組は昨年11月に放送された紀北町を流れる全長17㌔の銚子川を取り上げたドキュメンタリー。約7年前、水中写真家の内山りゅうさんから「台風の次の日にこの川を見てごらん」と紹介され、濁りなく透き通る川の様子に衝撃を受け、制作を決めた。

1年半かけ撮影

 森さん率いる約10人のチームは約1年半かけて「透明度が高く、息を飲むほど美しい川と周囲の生態系の姿」をカメラに収めた。春先に「ボウズハゼ」の群れが産卵のため海からするシーンは撮影に2週間を要し、「最も苦労したが、奇跡的な映像を収めることができた」と振り返る。

 8年前、結婚を機に地元の名張でフリーランスのディレクターとして独立。自宅に事務所を構えた。現在は東海地方にあるテレビ局の番組を手掛ける傍ら、「地元のつながりも大切にしたい」と、市消防団美旗分団の分団長も務めている。

裏話などまとめた書籍

 7月18日には、番組制作の裏側などを盛り込んだ番組と同じタイトルの書籍(A5判カラー144ページ)が「山と渓谷社」から発刊される。税抜き1600円で、名張市内のブックスアルデ各店や、伊賀市の岡森書店白鳳店などで取り扱っている。

2019年7月13日付751号2面から