名張市中町の伊賀まちかど博物館「はなびし庵」で、地元の歴史などを影絵劇で紹介している館長の角田勝さん(76)久子さん(70)夫妻が、新作の「赤目滝能楽案内」を完成させた。「名張を訪れる人に、赤目四十八滝や能楽に興味を持って頂けたら」と期待を寄せている。【新作を発表した(左から)田中君、小川さん、角田さん、久子さん=名張市中町で】
2人は江戸時代から続く酒販店を営む傍ら、築約180年の家屋を有効活用しようと、2004年に影絵劇を始めた。11作目の歴史物となる今回は、能楽と赤目滝を結びつけようと昨年秋に制作を始め、約半年をかけて完成させた。能の形式の一種「夢幻能」の展開をイメージした、約16分の作品となっている。
物語は、幕末の儒学者・鎌田梁洲が記した赤目滝を紹介する文献「観瀑図誌」などを基にしつつ、梁洲らが修験道との関わりや赤目の地名由来などについて、滝を上りながら案内する設定で進行。赤目五瀑の一つ「荷担滝」の場面では、04年に名張能楽振興会が京都で上演した梁洲作の能演目「赤目瀧」の音源を挿入した。
角田さんが資料を集め、久子さんが切り絵を制作した他、脚本は市内在住の郷土史家、中相作さん(66)、ナレーションは桜丘高校放送部の1年生、小川さくらさん(15)と田中聖君(同)、音楽と音響は同部顧問の村上嘉男教頭(52)がそれぞれ担当。薪能の場面で背景に使った荷担滝の絵は、角田さん夫妻の孫で、京都府精華町に住む中学2年の茉優さん(13)が描いた。
5人以上で上演
口上担当の角田さんと切り絵を操る久子さんによる初上演を鑑賞した小川さんは「アナウンスと違って朗読は難しかった」、田中君は「年配者の声の出し方を工夫した。上演されると感慨深い」と振り返っていた。
観客が5人以上集まれば上演可能。席料は1人500円(茶と茶菓子付き)。木曜休館。
問い合わせは同店(0595・63・0032)へ。
2019年5月25日付748号3面から