天皇譲位は約200年ぶり

 新元号「令和」が発表され、5月1日に新天皇が即位する。存命中の天皇が位を譲る「譲位」は約200年ぶり。そんな中、伊賀市鳳凰寺の鳴塚古墳が、密かに注目を集めている。名前の由来が「天皇のご譲位がある度に塚が鳴るから鳴塚という」と地元に伝わってきたからだ。同地区の自営業、中森博昭さん(49)は、この古墳の撮影を続けている。【ドローンを使って上空から撮影した鳴塚古墳=伊賀市鳳凰寺で(中森さん提供)】

ドローンで撮影し動画配信 伊賀市の中森さん

 中森さんは10年ほど前から産業用無人ヘリコプターを使った空中農薬散布の仕事を始め、3年前に小型無人機・ドローンを購入、昨年秋から空撮事業「空撮伊賀Skycatcher」を開始した。古墳の周辺が中森さんの管理地で、試験飛行を兼ねて度々ドローンを飛ばしては、動画投稿サイト「ユーチューブ」で映像を公開してきた。

 古墳は全長37㍍の前方後円墳で、6世紀半ばごろの築造と推定されており、市の文化財にも指定。被葬者は諸説あり不明だが、「壬申の乱」(672年)で敗れた大友皇子の母・伊賀采女宅子にゆかりがあるとされ、「そこから天皇家とつながる伝承が生まれたのでは」と、地元の遺跡保存会の服部譲さん(75)は話す。

 墳丘南側に石室への入口が開口しており、地元の人たちは子どものころに中に入って遊んだ思い出の場所だそうだ。形状が奇麗で分かりやすいのは、地元の住民たちが年に3回草刈りをし、手入れを続けているため。昨年8月には約30年ぶりに古墳前で宅子の供養祭「椿まつり」が実施され、伝承を守ろうとする機運が更に高まってきているという。

 春には新緑の古墳が田の水面に反射して輝き、あぜ道に沿って植えられたスイセンが花開く。四季を通じて古墳を撮影してきた中森さんは、「水面に映った〝逆さ古墳〟が見られる4、5月ごろが1年で最も古墳が映える季節」と楽しみにしているそうだ。

何か異変あれば投稿

 同古墳については、昨年からSNSの古墳ファンらの間で「言い伝え通り、天皇の譲位で塚が鳴るのか」とささやかれている。

 「古墳の中は今どうなっているのか」と気になった中森さんはこのほど、市教委文化財課に条件を確認した上で、同地区の西尾孝典前区長(62)に協力してもらい、360度撮影可能なカメラを石室内に持ち込み撮影に成功した。石室に続く通路は狭く、ほふく前進で到達。石室に入った西尾さんは「私の身長ほどの空間があったが、子どもが小さいころ、一緒に入った時のイメージと違った」と懐かしんだ。

 中森さんは「『鳴るのか』という5月1日前後は田植えの時期なので、私は古墳の近くで作業をしているはず。何か異変があれば動画を撮影して投稿します」とニッコリ。古墳の空撮や内部映像は、中森さんが運営する同事業名のユーチューブ動画チャンネルで視聴できる。【操縦する中森さん】

2019年4月20日付746号1面から