上野総合市民病院(伊賀市四十九町)の2018年度決算は、純損益が約1億3千万円の黒字となる見通しとなった。黒字は05年度以来13期ぶり。政府が定めた基準の他に、市が一般会計から経費を投入する「基準外繰入金」分を純損益から除いた実質単年度収支でも、約4千万円の黒字を見込む。【繰入金推移のグラフを示す諦乗事務部長=伊賀市四十九町で】

 昨年4月から入院費の計算方法を出来高払い方式から、最も医療資源を投入した一つの傷病を選んで計算するDPC(診断群分類包括評価)方式に転換。診療行為の標準化と、収益の増加を目指してきた。

 同時に、西館3階の療養病棟を、退院後の生活に不安のある患者に対し、在宅復帰に向けた医療の管理やリハビリを行う「地域包括ケア病棟」(40床)として新たに開設。入院期間60日以内という制限の中、院内の一般病棟から移動してくる患者の他、転院してくる患者も増え、稼働率が向上したという。

基準外繰入金ゼロを目標

「職員の意識変化」

 同病院では2005年から、医師や看護師の不足などにより病棟の一部を閉鎖し始め、12年までの8年間で、68%だった病床稼働率が23%まで低下。5病棟のうち3病棟が閉鎖する状況下、12年には純損益が最大8億2631万円の赤字となった。その後、周辺地域の医大などから支援を得て、医師数、看護師数ともに徐々に回復。16年には全病棟の稼働再開を果たし、徐々に赤字を減らしてきた。

経営状況を共有

 現在、同病院の常勤医師数は18人。18年4月から19年2月までの1日平均入院患者数は約199人で、病床稼働率の平均は70・9%となっている。

 経営が改善してきた要因として、「経営改善会議の活用で職員の意識が変化した」ことが大きいという。会議は以前から開催されていたが、数年前からは医師や看護師を含む各部署の担当者約40人に出席を呼び掛け、図や表などを交えた経営実績についての詳細な資料を配布。単月ごとの数値やキャッシュフローの推移などを確認し合い、経営状況を全部署が共有した。結果、診療報酬の算定に関する知識が向上、DPC方式の特徴を踏まえ、診療内容を算定に反映させたことも収益上昇につながったという。

 また16年3月から、看護師1人に対する入院患者の割合を7人から10人に変更。現場の負担増に対応するため業務内容を見直し、配膳やシーツ交換など委託可能なものを仕分け、効率化を進めた。

信頼関係の構築

 その他、地域の開業医からの紹介を積極的に受け、専門治療によって患者の状態が改善したら、速やかに開業医に患者を紹介するよう徹底。信頼関係の構築により入院患者数が増え、病床稼働率の上昇に貢献した。

 経営改革を担う諦乗正事務部長は「20年度には基準外繰入金をゼロとするのが目標。新院長のもと、キャッシュフローを改善して基準内繰入金のみで安定した病院経営を進めていきたい」と話した。

2019年4月6日付745号1、10面から