大観衆のスタジアムで、試合を裁く―。伊賀市柘植町の中澤涼さん(29)=写真右=と、同市柏野の安川公規さん(31)は、会社勤めの傍ら、日本サッカー協会(JFA)認定1級審判員として活躍している。

判断一つで変わる結果

 1級審判員は全国に218人、うち県内に3人。中澤さんはJリーグ担当審判員として5年目で、週末は月に3回ほどJ2を中心に副審として全国に派遣されている。安川さんは今年2月、県内4人目となる1級に新規登録され、3月17日に静岡県であったJFLの試合でデビューした。

 2人とも地元の小学校でサッカーを始め、中学では旧伊賀町の同じユースチームで練習に励んだ。

 小学生のころから審判員に憧れていた中澤さんは、中1で4級の資格を取得し、審判員としても活動を始めた。上野工高(現・伊賀白鳳高)1年の時に3級を取得。サッカー部で主将を務める傍ら、3年時には社会人の試合を裁いていた。

 安川さんは津工高から大学へ進み、サッカーを続けたが、20歳の時に足を負傷したことで審判員に挑戦。「選手のプレーを誰よりも間近で見られる世界」に感動し、本格的に目指すことを決めた。 【3月に静岡県であったJFLの試合に臨む安川さん(右)(提供写真)】

 2人とも10年に2級に合格し、研修会場で偶然再会する。1級を目指す審判員が参加する研修「トレセン」にはそろって参加し、技術を磨き合った。

 安川さんは12年、一足先に1級を受験するも不合格。一度失敗するとすぐには再受験が認められず、今年まで6年間、挑戦を続ける日々を送った。

 一方、13年に合格した中澤さんはJFLから経験を積み、昨年はJ2を中心に42試合を担当した。「自分の判断一つで、試合の結果が変わる。観衆が多く注目度が高い分、責任も大きい」と上位リーグを裁く難しさを語る。

 1級は8階級に細分化され、経験や能力、評価などに応じて試合が限定される。審判員が試合中にとった行動や判断は協会担当者によって全て点数化され、昇格できるかどうかは成績の評価によって決まる。

 中澤さんは「試合後は映像で自分の判定の正否を見直し、次に担当するチームの戦術を予習している。日々の体力トレーニングも欠かせない」とピッチ外での姿を話す。【J2の試合前に選手と握手を交わす中澤さん(左)(同)】

 年に数回実施される体力テストでは、40メートル6秒以内のダッシュ6本、75メートルと25のインターバル走を40本繰り返すなどの課題があり、基準に達しなければ試合の割り当てが停止となる。

 本業として審判の仕事ができるのは、1級の中でも最上位10人ほど。競争の厳しい世界で活動を続ける2人は「家族の支え、職場の人たちの理解が無ければ続けられない」と、周囲への感謝の思いを忘れない。「選手が集中してプレーでき、観客が安心してサッカーを楽しむことができる環境を提供するのが審判の使命。50歳まで現役の審判員もいる。やれるところまで上を目指したい」と更なる活躍を誓った。

2019年4月6日付745号1、2面から