過酷な南米の道なき道を舞台に各国のチームが競い合う世界最高峰の自動車レース「ダカールラリー」で今年、トラック部門の排気量10㍑未満クラスを10連覇した「日野チームスガワラ」に、三重日野自動車上野営業所(伊賀市下友生)に勤務する小田大伸さん(42)=松阪市在住=が販売会社選抜メカニックの一員として参加した。【クラス10連覇を果たした2号車の前で喜び合うチームのクルー。前列左端が小田さん(三重日野自動車提供)】

 1991年から同ラリーに参戦している日野自動車では、人材育成や技術向上などを目的に、毎年全国の支社・販社などからチームスタッフを公募・選抜している。今年は小田さんと、いずれも30代の茨城、岐阜、愛知の男性スタッフの計4人が選ばれ、ドライバーの菅原義正さん(77)、照仁さん(46)親子、同社が誇るメカニックの精鋭ら20人前後のメンバーとともにレースに挑んだ。

 小田さんは津高等技術学校で自動車整備・修理などの技術を学び、同社でのキャリアは約20年。昨年5月から静岡県内で車両製作に入ったチームは、7月のロシアでのラリーに参戦後、修理や調整を重ね、年末には開催地ペルーへと渡った。

 ダカールラリーは2009年にアフリカから南米へと開催地が移り、近年は南米の数か国が会場となっていたが、今年はペルー1国での開催に。1月7日からの11日間、約5600㌔にも及ぶ道程のほとんどは砂漠や荒れ地で、タンクに砂が詰まらないよう常に燃料フィルターに気を配るなど、「すさまじい砂との戦いの日々」が続く。「整備も『大丈夫〝だろう〟』では通じない世界。事前にあらゆるトラブルを想定して対策を立てていた」という。

 小田さんらサポートスタッフは別の車で約3千㌔を移動し、ステージ間は寝る間も削ってメンテナンスと修理に明け暮れた。片言のスペイン語で燃料を実費購入したり、一面砂漠でGPSでしか現在地が分からなくなったりするなど、数々の苦労も「戸惑うことばかりだったが、皆で意識を共有して乗り越えられた」と振り返る。【レース車のメンテナンスをする小田さん(同)】

 菅原さんの1号車は7日目にリタイヤとなったが、照仁さんの2号車は順調に走行を重ね、見事に10連覇を達成。「チームの目標だった完走と上位入賞を果たせた。このチームでダカールラリーを経験でき、誇りに思う」と話す小田さんは、約9か月の間、快く送り出してくれた職場の仲間たち、妻と9歳、7歳の娘に感謝しながら「これから挑戦する後輩たちを支えていけたら」と展望を語った。

2019年3月23日付744号2面から