楽しい入りのたんすを孫の入学祝いにー。家具職人などとして活躍し、今も毎日木工に携わっている伊賀市四十九町の西浦正記さん(84)がこのほど制作した桐のたんすは、欧風刺繍を長く楽しんでいる奈良市在住の立石佳津子さんが2人目の孫のために依頼したものだ。【完成したたんすを披露する西浦さん(右)と立石さん=伊賀市で】

 2010年に生まれた初孫の誕生祝いを考えた立石さんは、四季の風景と子どもが遊ぶ様子を1年かけて刺繍に仕上げた。知人を介して西浦さんがたんすの制作を引き受けることになり、世界に1つしかない記念の品が完成していた。

 立石さんは、奈良県内に住む2人目の孫・竹村光稀君(6)にも入学祝いを贈ろうと、1年半ほどかけて刺してきた計7枚の刺繍を昨年9月に完成させ、西浦さんに託した。子どもでも出し入れしやすく、刺繍の雰囲気も損なわないようにと細部にまで気を配り、今年2月に高さ127㌢、幅110㌢、奥行き45㌢の刺繍たんすが見事に出来上がった。【刺繍の一部】

 「動物が好きな男の子なので、生き生きとした様子に仕上げてくれて感激」と立石さん。大小6段の引き出しに、〝宝物〟を入れたくなるような小さい扉も備えており、西浦さんは「細かく注意を払って作ったので、時間はかかったが、完成して良かった。毎日使ってもらえるとうれしい」と話した。

2019年3月9日付743号1面から

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