伊賀に居を移して三十余年、手回しろくろとまき窯で食器一筋に陶芸に打ち込んできた伊賀市馬田の室川嗣夫さん(73)=写真=の個展が、3月17日まで、同市上野福居町のギャラリー「アートスペースいが」で開かれる。入場無料。

まき窯と手回しろくろで三十余年
感銘受けた人間国宝 「幸せな10年」が原点

 京都市出身で、大学時代は植物の研究に取り組み、陶芸に接することはほとんどなかったが、ある時、テレビに映った男性の「格好良さ」に感銘を受けた。その人こそ、桃山時代の焼物の再現などに尽力した人間国宝の陶芸家・荒川豊蔵さん(故人)だった。

 「近くで学ばせてほしい」と懇願する自筆の手紙を荒川さんに送ったところ、その思いは実った。「何を習うというわけではなく、そばに置いてもらえるだけで幸せ」な時間を10年ほど過ごし、陶芸家としての原点を構築。1985年、茶道具で知られる「古伊賀」への憧れもあって、京都から程近い現在地へ移り、穴窯を築いて制作に没頭してきた。

 自身の器は、愛でるための美術品ではなく実用的な「工芸品」と位置付ける。これまでに東京や大阪の百貨店などで何度も個展を開いてきたが、伊賀地域では初めての開催で、食器のセットなど30、40点を出品する予定だ。

 個展を控え、室川さんは「ドキドキしている。これからも刺激や面白さを求め、常にわくわくしていたい」と思いを語った。

 時間は午前11時から午後6時(最終日は同5時)まで。

 問い合わせは同ギャラリー(0595・22・0522)へ。

2019年3月9日付743号21面から