身近な地域を記者が実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。一年で最も寒さが厳しくなるこの時期でしたが、日中は気温が上がる日も少なくありません。今回は、宇陀市にある室生ダムの周囲を巡る約8・5㌔のコースを紹介します。(取材・山岡博輝)【室生ダムの南岸から見た下山橋】

 当初は1月29日の取材を予定していましたが、朝からの風雪のため延期し、30日午前9時すぎに室生ダムを訪ねました。折から雨が少なく、ダム湖も貯水量は少なめのようです。東屋から湖面と周囲の山々を眺めてから、ダムの堤頂を歩き始めました。クリーンセンターの煙突の向こうに見える山は額井岳(標高813メートル)のようです。

エメラルド色の滝

 堤を渡り切ると、道路はゆるい上りに。宇陀川の支流をさかのぼっていきます。湖面は抹茶に近い緑色で、流れもほとんどなく静かです。道には開き切った松ぼっくりがいくつも転がっていました。林の中から聞こえた「ギー」という鳴き声の主は、羽根の裏が青い2羽の鳥でした。

 この道は、1974年に完成したダムの造成に合わせ、大きな岩も削って整備されたと思われますが、切り立った岩がなかなかの迫力でそそり立っています。朱塗りの橋を渡ると「竜鎮渓谷」の看板があり、それに従って川沿いに未舗装の道を進んでいきました。

【滝つぼの色が印象的な竜鎮の滝。すぐ下流には竜鎮神社がある】

 橋から5分ほど歩き、左手の階段を下りたところにある竜鎮の滝では、エメラルドに近い青い色の滝つぼに目を奪われました。流れてくる水が削ったのか、岩は複雑ながらも滑らかな形状に削られています。水量が少ないため、滝の下流で川をまたぐように渡ると、竜鎮神社の鳥居とほこらがありました。

赤い橋

 橋まで戻り、再びダム湖の周囲へ。道端の落ち葉の中でも、裏の白いホオの葉が目立ちました。ウォーキングの男性とすれ違ってあいさつを交わし、再びダムが見えた後は、行く先に赤い下山橋が近付きます。しかし、この橋は通行できなくなっていました。

 小学校のマラソンコースになっているのか、「折り返し地点」の看板もあります。ほとんど音のない道をのんびりと歩き、出発から約1時間、斎場の下あたりの日向で小休憩を取りました。

水色の橋

 山側は急峻で、相変わらず落石防止のフェンスが続いています。春のような日差しが時々山に遮られ、かいた汗が気温差ですぐに乾いていきます。木々の間から水色の橋(赤人橋)がちらちら見えてくると、静かだった湖面から水鳥の羽音が聞こえました。

【赤人橋を渡って国道を目指すと正面に“大和富士”額井岳】

 墓所と伝わる史跡が額井岳のふもとにある歌人・山部赤人にちなんだ名前の橋を渡り、ようやく榛原山辺三の集落が見えてきました。土手が石積みの田んぼを眺め、近鉄大阪線の細いガードをくぐって国道165号へ。石段を上がって葛神社へ一礼し、再び国道へ戻りました。

【国道に出る手前の丘の上から近鉄電車の通過を見送る】

 国道の歩道はところどころ狭くなっているため、車を気にしながら東へ。生垣のツバキは色あせ始めていました。道が下りになるとクリーンセンターの煙突が再び見え、室生緑川の集落へと進みます。草が茂った歩道に苦戦しつつも国道を渡り、ダム方面へ下っていきました。

 グラウンドや大きな遊具のある「室生不思木公園」を横目に進み、午後0時半ごろに室生ダムへ戻ってきました。歩数計は1万2312歩を指していました。

 木々も落葉し、寒々とした景色になりがちな季節ですが、今回は橋や滝、ダム湖や花など、さまざまな「色」と出会えた気がします。皆さんも春の訪れを心待ちにしながら、身近な場所を歩いてみてはいかがでしょうか。

 

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