宇流冨志禰神社(名張市平尾)の秋祭りで巡行する本町のだんじりの修復が終わり、2月21日に大阪の業者から引き渡しがあった。【運ばれてきただんじりを撮影する住民ら=名張市本町で】

 本町のだんじりは高さ約3メートル、舵を除く長さは約4メートル。旧町と呼ばれる地区にはかつて4基のだんじりがあったが、現在も巡行が続くのは本町のみ。大正時代に奈良県大和高田市から本町が譲り受けたと伝わる。
 
 屋根下部の「枡合」と呼ばれる部分に施された、中国の故事「二十四孝」などを表現した彫刻の特徴から、江戸時代末期に南河内(大阪府南東部)で製造されたものと推測されるという。【修復を終えただんじりの彫刻】
 
 巡行時にはやしを奏でる子どもや大人が乗り込む舞台と呼ばれる広い部分が特徴で、かつては祭りで余興などを披露する目的の場所だったという。

 100年以上にわたり使用されたため、土台の木材の割れ、装飾部分の欠損など劣化が顕著に。人が乗り込む舞台の床は穴が開き、手すりはぐらつくなどするなか、応急処置を続けて巡行してきたという。
 
 その状況の中、地区住民らで作る「本町秋の例祭保存継承実行委員会」が本格的な修復を計画。文化庁の文化芸術振興費補助金の支給も決定し、昨年10月の秋祭りの後、大阪府岸和田市の専門業者・池内工務店で修復が進められた。
 
 総事業費は約1090万円で、うち約920万円が補助金。差額は、2017年にだんじりを保管する「地車庫」を本町集議所前に移転した際の寄付の残金を充てたという。

 この日、近隣の住民らが見守る中、修復を終えただんじりが同議所前に到着。「ほんまに奇麗」「引くのがもったいないわ」などと声が上がった。【本体と屋根を組み合わせる池内工務店の大工ら】

 形状は修復前と同一だが、虫食いなどの影響で再利用できる部材は限られ、全体の約50%は新たな材料を使用。黒ずんだ彫刻や柱は、木材洗いの専門業者に依頼したという。

 同工務店の池内幸一社長(59)は、「修復前は、とても巡行できる状態ではなかった。長持ちするよう工夫したので、末永く使って頂きたい」と話した。

 本町の市岡一夫区長(69)は「期待以上の仕上がりで驚いた。だんじりは地区のまとまりに欠かせないもの。祭りを盛り上げるため、多くの人に引き手に参加してほしい」と話した。

 24日の午前10時からは、同集議所前で同神社宮司による入魂式とお披露目がある。