地域誌「伊賀百筆」の28号が1年1か月ぶりに発刊された。延べ133人が執筆し、特集の一つは昨年に生誕160年を迎えた明治から昭和前期の実業家で旧上野町長の田中善助(1858‐1946)にスポットを当てた。【編集発行人の北出楯夫さん(左)と副編集長の福田さん=伊賀市役所で】

 特集のタイトルは「田中善助さん再見」。水力発電事業や伊賀軌道(現伊賀鉄道)の敷設、伊賀上野銀行の設立、下水道事業、榊原温泉(津市)の復興、風景保護活動など伊賀の近代化を進めた偉大な実業家の存在が没後72年を経て薄れていくことに憂慮し、数々の功績をまとめた。

 伊賀にゆかりがある作家や作品を紹介する施設の設置を願った「伊賀近代文学館」とタイトルの寄稿は、伊賀百筆副編集長の福田和幸さん(70)が「こんな資料館ができたらいいのに」という思いから空想のニュースを仕立てて執筆した。文化行政に対する皮肉が込められており、都道府県別の類似施設一覧も紹介している。また、前号の「藤堂藩伊賀者の系譜‐瀧家系図‐」に続く忍者関連の読み物「『貝野家文書』をひもとく」は、61ページの大作だ。

 A5判320ページで、1000部を発行。定価は税込み1500円。原則は登録会員制だが、伊賀・名張両市内の主な書店でも販売している。

 問い合わせは北出さん(0595・21・2145)まで。

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