「原点は世界遺産の岐阜・白川郷」。名張市桔梗が丘8番町の福島克己さん(77)=写真=が趣味で作るミニチュアの古民家。今では室内だけでなく庭先にも昔懐かしい日本の情景が広がっている。

 子どものころから木工好きで、のこぎりなど大工道具を持つと「わくわくした」という。60歳のころ、妻の梢さん(73)と旅行した白川郷で刺激を受け、休日を利用して合掌造りを模した小さな古民家作りを始めた。

 作業は独学。自己流で図面を描き、廃材などを利用してそれらしく骨組みを作った。試行錯誤の繰り返しだったが、自分の家を建てるような感覚で、作業に没頭したという。

 リアルさを出すため、実際のわらや畳も利用した。綿で雪化粧、白い小石で表現した水路の他、梢さんが趣味で集めている陶器の古道具も脇を固め、まるで生活しているかのような空間に仕上げる。

これまでに制作したのは約50点。初めは手のひらに乗るようなサイズだった作品も、年を重ね、数が増えるごとに巨大化。自宅リビングを始め、玄関や台所に所狭しと飾られている。数年かけて仕上げた高さ1㍍余りの大作は、自宅庭に設置。モーターで送り出された水で水車が動く本格的な作品だ。

 この大作を始め、庭に設置した数点の作品のうち、わらぶき屋根のものは毎年ふき直していたが、傷みが激しいため、全て板の屋根にリニューアルしたという。

 白川郷以外にも夫婦で“日本の原風景”が残るとされる地域などを訪ね歩き、研究したという福島さんは「自分の家くらい造れたら」と笑った。

2019年1月26日740号2面から