名張市滝之原の八幡神社で1月9日、「若子祭」があった。地区の住民が、寒空のもと片肌を脱ぎ、願いを込めた矢を放った。【矢を放つ弓取人たち=名張市滝之原で】

 県の選択無形民俗文化財などに指定され、700年以上の歴史があるとされる。「若子」とは、前年に地区内で生まれた男児や、地区に迎え入れた婿養子を指し、本来は若子の成長を願う正月行事だが、昨年に続いて今年も対象者がいなかったため、地域の五穀豊穣や健康安全などを祈願した。

 滝之原の上出、中出、下出の各地区から2人ずつ選ばれた計6人が「弓取人」となり、神社前の道路から約70メートル先の丘の斜面に設置した約1・5メートル四方の的の方向へ矢を放つ。ただし、「的に当たるのは縁起が良すぎる」と、あえて当てないのが習わしとなっている。

 今年は弓取人が2人ずつ代わる代わる計24本の矢を放った。昨年に続いて弓取人となった会社員の杉森康夫さん(63)は「神聖な場で弓を引き、新年は幸先の良いスタートになりそう。でも、若子がいないのは寂しいので、若い人が地区に来てくれたら」と話した。