今年3月に国の重要無形民俗文化財に指定された、伊賀市山畑の勝手神社(神田信忠宮司)の「神事踊」が10月14日、奉納された。晴天に恵まれ、訪れた大勢の見物客は、華やかでゆったりとした踊りに見入っていた。【境内で奉納される神事踊=伊賀市山畑で】〈動画を見る・YouTube〉

 田楽形式の太鼓(かんこ)を肩から提げて踊り、五穀豊穣や村内安穏などを祈念する「かんこ踊り」の一つで、同神社では江戸後期の寛政年間に行われたという伝承がある。近隣15社を合祀した1908(明治41)年以降、二十数年の間は廃れてしまっていたが、神事踊の行く末を案じた住民らが復興に尽力し、32(昭和7)年に再開した。

 造花で飾った割竹を枝垂れさせた「オチズイ」を背負い、太鼓を胸に付けた6人の「中踊」を中心に、10代から40代の男性25人が、楽太鼓打、歌出し、鬼などの役を務める。再開後は、複雑な動きや旋律、リズムなどを次の世代へと受け継ぐ仕組みを守っているのも特徴だ。

 この日、東に約1キロ離れた御旅所を、花火の合図で午後1時30分に出発した行列は、猿や赤・黒の馬を先頭に御渡りをし、鳥居前でおはらいを受けて境内へ。大勢の人が見守るなか、歌や太鼓に合わせて「御宮踊」「津島踊」などが奉納された。

 同神社神事踊保存会会長を務める中林正悦総代長(70)は「先人たちが復興してから86年が経ち、国指定の文化財となることができた。『今年が新たな出発』という気構えで、これからも皆で神事踊を継承していきたい」と思いを語った。