伝統的な伊賀焼を復興した陶芸家で、松尾芭蕉の研究者、アララギ派の歌人としても知られる菊山當年男(1884‐1960)が没して半世紀。伊賀が生んだ文化人の軌跡を伝える展示会「没後58年 菊山當年男展」が10月6日から14日まで、伊賀市上野福居町のギャラリー「アートスペースいが」で開かれる。【作品展を心待ちにする(左から)寺村さん、貴視子さん、宗弘さん】

 現在の同市上野忍町に生まれ、日露戦争時に2年間の軍隊生活を経験。新聞社勤務や、上野信用組合(現・北伊勢上野信用金庫)の創立に携わるなど、実業界で活躍した。一方で、53歳の時に上野丸之内に築窯して作陶に励み、古伊賀の復興に尽力してきた。晩年には県無形文化財の指定も受けている。

 「伊賀の七度焼」とも呼ばれるように、伊賀焼は高温で何度も焼成するのが特徴だが、自前の登り窯を使って十数回、焼成を繰り返すことが多かったといい、ビードロや焦げた黒など特徴的な4色に焼き上げた作品が多い。

 同ギャラリーで伊賀ゆかりの文化人を顕彰する企画展示は、書家・榊莫山、画家・濱邉萬吉に続き3回目。孫の菊山宗弘さん(71)が6年前に上野福居町へ転居し、同ギャラリーを営む寺村尚さん(66)、貴視子さん(63)夫妻と交流が生まれたことで展示が実現した。

 今回は、伊賀焼と、その復興を担った菊山氏を顕彰していくきっかけになればと、家族の手元に残る茶わんや花生けなど60点余りを一堂に展示する。時間は午前11時から午後6時(最終日は同5時)まで。入場無料。

 また8日午後2時からは、近くの上野西部地区市民センターで「ギャラリートーク」があり、郷土史家の北出楯夫さんが菊山氏の人柄や作品について語る。入場無料、申し込み不要。

 家族として本名の菊山種男を知る宗弘さんは「私が中学生のころに亡くなったが、相当な甘党で、思い立ったらすぐに体が動く、気が短くせっかちな人だったと聞いている」と語る。作品を所有している寺村さん夫妻は「長らく展示された機会もなかった。良いものがこうして作られてきたことが伝われば」と願っている。

 問い合わせは同ギャラリー(0595・22・0522)へ。

2018年9月22日付732号7面から