独特の作風で多くのファンから愛されている、伊賀市出身のミステリ作家、麻耶雄嵩さん(49)=写真。今春発売された新刊「友達以上探偵未満」(KADOKAWA)は伊賀を舞台にした連作で、地元愛あふれる物語が好評だ。【ミステリ作家の麻耶雄嵩さん(提供写真)】

 中学時代は野球部、上野高校時代は放送部に在籍し、進学した京都大学で所属したのはミステリ研究会。2回生の時に同人誌に載った作品が、作家になるきっかけとなった。

 以来、日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞の2冠となった「隻眼の少女」を始め、数々の作品を世に出した。フジテレビ系列で昨春放送された“月9”ドラマ「貴族探偵」の原作者としても知られる。

 物語が浮かぶのは刺激を受けた時だといい、特に旅行や人との出会いがアイデアに結びつくそうだ。よく鉄道を利用して山城を訪れるなど、「鉄道好き、山城好き」を自称する。飼っているのはハリネズミの「きゅうす」で、急須の形に似ているので命名した。今では手のひらで眠るくらいに懐いてきたそうだ。

 「友達以上探偵未満」=写真=では、探偵志望の女子高生「伊賀もも」と「上野あお」が“桃青コンビ”を組んで活躍。伊賀を意識したネーミングは、他の登場人物や場所名にもふんだんに散りばめられ、麻耶さんの地元愛が感じられる作品だ。

 「伊賀は落ち着く場所」だというが、帰省時には、高校時代にあった商業施設が閉店していたり、コンビニや大型店舗が増えていたりと、驚くことも多いとか。

 「伊賀は盆地で、良くも悪くも孤立した場所で、大阪や名古屋の影響も半々。孤立は『独立』でもあるので、染まらない独自の魅力を持つ町でいてほしい」とエールを送った。

2018年8月25日付730号1面から

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