自身が夢を抱くことで息子の夢の後押しになればと、母親が一念発起して始めたのは「お弁当屋さん」。安心で安全なものをと母の思いがいっぱい詰まった弁当が、食卓を笑顔にすると好評だ。【地元でのイベントに初出店した岡さん=伊賀市上野忍町で】

 この母親は、伊賀市山出のパート従業員、岡久代さん(38)。料理人だった父親の影響で、料理は身近なものだった。仕事で疲れて帰ってきても食卓には必ず手料理を並べた。一人息子の飛来君(14)を育てるなか、「疲れた時に出来合いを出すのが心苦しい」など他の母親の意見を聞き、「いつかは得意な料理で自分の店を開き、そんな母親たちの力になれれば」と考えていた。

 飛来君が将来の夢を語り始めた4年ほど前、背中を押されるように岡さんも店舗開店の夢に向かって動きだす。まずは「久代屋DELI」の名前で、県内外のイベントに参加し、手作り弁当の販売を始めた。地場野菜の色と味にこだわる岡さんの「お弁当」は、カラフルで開けた時に華やぎ、「また頑張ろう」と思わせてくれると評判を呼んだ。

初めて地元イベントで
 今年の5月には地元のイベントで初めて販売。前日から仕込み、朝4時に起きて作った野菜たっぷりの「幕の内」や「デミカツ丼」、伊賀の赤みそを使った「肉味噌混ぜそば」の3種類の弁当や5種類の惣菜があっという間に完売したという。

 イベント出店時には必ず、飛来君も手伝い、二人三脚で準備する。「母親が働く姿を見てほしい」「一緒に何かをする大切さ」「できるだけ一緒に」という、年頃になった息子への、母としての思いがある。

 それに応えるように、飛来君はよく手伝い、時には恥ずかしさからか、友人を誘って販売も手伝ってくれる。買ってくれた人を幸せにするだけでなく、岡さん母子にも幸せな時間をもたらしているようだ。

 「今後も定期的に地元でマルシェを開催し、自分の店のオープンにつなげられたら」と話す岡さんの隣で、飛来君がはにかんでいた。

2018年5月26日付724号1面から