お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんの芥川賞受賞作を舞台化した「火花Ghost of the Novelist」。主演の観月ありささん、植田圭輔さん、お笑いコンビ「ノンスタイル」の石田明さんらと同じ舞台に立つのが伊賀市上神戸出身の中西裕胡さん(20)だ。【女優の中西さん(提供写真)】

 幼いころに見た地元のミュージカル劇団の公演に衝撃を受けた中西さん。劇団の指導者が主宰するダンススクールに入門した。中学生になると大阪市内のスクールにも通った。高校進学後、スクールで芝居をする機会があり、それを機に数々のオーディションに挑戦。「数え切れないくらい落ちた」と笑う。

 転機は2年生の時。内野聖陽さん主演の映画「罪の余白」のオーディションに合格。せりふはなかったが、等身大の高校生を演じた。この出演をきっかけに、芸能事務所にスカウトされた中西さん。卒業式の翌日には上京した。

 事務所に所属してから、さまざまなオーディションで役を勝ち取り、4本続けて舞台に立った。メインキャストではなかったが、周りを見て、勉強になったという。

 「火花」への出演は今年2月上旬に決まった。「まさか、自分がテレビで観ていた方々と共演できるなんて」とびっくりだったそうだ。中西さんの役どころはさまざまな人物を演じ分ける「アンサンブルキャスト」。

 著名な俳優の芝居を身近に感じることができ、ものすごく勉強になっているという中西さん。特に芸人の発想が面白く、舞台はアドリブだらけだそう。中西さん自身は、周囲が関西弁ばかりの現場での標準語を話す役に苦労しているそうだ。

 「今は舞台も映画もミュージカルもいろんなことをやってみたい」と中西さん。「言葉を発せずとも、立ち居振る舞いや表情で表現できる女優、心を震わす演技をしたい」と目を輝かせる。「地元は和やつながりを大事にして、人が温かい。その感覚を忘れないでいたい」と言う。「何でも、努力してきたことに自信を持って」とメッセージを寄せた。

 同舞台の大阪公演は、5月9から12日まで、大阪市中央区の松下IMPホールである。

2018年4月28日付722号10面から

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