名張市教育委員会は、同市赤目町長坂の延寿院(瀧不動堂)に津藩から送られた江戸時代の寄進状「延寿院津藩主寄進状」を有形文化財・書跡として指定した。【市指定文化財になった「延寿院津藩主寄進状」(名張市教委提供)】

登録された寄進状は、1636(寛永13)年に津藩2代目藩主である藤堂高次から始まり、1827(文政10)年の11代目藤堂高猷まで、藩主交代ごとに送られた計9通。津藩の祈願所とされた同寺にこれまで保管されてきた。

寄進状は藩主の武運長久や藩や統治地域の安全、繁栄の祈願を求め、供え物や燈明料として同寺に23石8斗4升の米を寄進すると記されている。

同市教委文化生涯学習室は「当時、地域の寺は村社会の中心的存在。江戸時代全体を通じた津藩と延寿院のつながりを示すだけでなく、石高を与えて統治力を強めた当時の地域経営を知る上でも貴重な資料」という。

指定は3月13日付。学者や教職員ら有識者でつくる市文化財調査会で決定した。今回の登録で、市指定文化財は56件となり、うち有形文化財の書跡は10件になった。

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