神社の門前で対になって参拝者を迎える「狛犬」。神社本庁(東京都)によれば、かつての渡来信仰に基づいて日本に入ってきたとされ、邪気をはらう意味を持つという。現在は石でできたものがほとんどだが、かつては木製のものも多く、よく見てみるとさまざまな材質の狛犬がいる。年を迎えるにあたり、伊賀地域の珍しい狛犬を紹介する。

伊賀地域の狛犬で唯一、県指定文化財となっているのは、12世紀半ばの平安時代後期作と伝わる、伊賀市西山の春日神社の「木造獅子・狛犬」だ。かつては本殿付近に置かれていたが、風雨による劣化が進んできたため、近年は境内の土蔵に収納している。

伊賀市教育委員会発行「伊賀市の文化財」などによると、高さ約50㌢の阿形と吽形が対になり、それぞれの頭部と胴部は別になっている。素材はヒノキで、赤や青の彩色が施されていた名残をとどめている。

温和な表情を浮かべる一対の像を大切に守る長濵弘宮司(70)は「地元の人たちでも、この狛犬を目にする機会は少ない。貴重な宝物の一つとして、見て頂けるような機会もつくっていきたい」と話していた。

木造の狛犬はこの他、同市石川の穴石神社などにもある。同神社の狛犬は、江戸初期に地元の氏子らが奉納したと伝わる一対が市指定文化財となっている。

また、多くの窯があり、「伊賀焼の里」として知られる同丸柱には、諏訪神社の本殿前に、戦前に地元の陶芸家から寄贈されたという伊賀焼の狛犬が鎮座しており、同北山にある比々岐神社には、角のある青銅製の狛犬が拝殿前に構えている。

2017年12月23日付714号12面から