身近な地域を実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。本格的に冬の気候となってきましたが、まだ日中は、いくらか暖かい時間帯もあります。今回は、伊賀市の上津地区を東西に歩く約9・8キロのコースです。(取材・山岡博輝)【1枚目の写真 妙楽地地区の県道端にある廃屋。見上げると、緑と赤のコントラストが印象的】

 11月15日、早朝は霧が満ちていた伊賀盆地も、スタートした午前9時半にはすっかり秋晴れとなりました。伊賀市伊勢路の近鉄伊賀上津駅前を出発し、まずは下川原地区へ。大坪橋から澄んだ流れの木津川越しに特急と急行を眺め、ガードをくぐって集落へ入っていきました。

【伊賀上津駅西方の大坪橋から通過する特急列車を眺める】

 軒先のキウイの棚や製瓦所のれんが造りの煙突などを眺め、次は北山地区へ。製材所から木の香りが流れてきます。公民館前の常夜灯を右手に見ながら、真っすぐな道を歩いていきます。続く勝地地区の入口から山手に入り、集落内の道へ。道端の畑ではイチジクが鈴なりになっていました。近くの空は澄んでいますが、目指す方角の山は薄くかすんでいます。

 勝地の公民館前の椅子には2体のかかしが座っていて、突然の遭遇に驚きました。ほどなく道端に「右奥山大権現」の石柱があり、以前に取材で訪れた奥深い山中にある神社の姿を思い出しました。薮からは黄色の葉がたくさん、ほおをかすめて落ちていきます。

【北山地区から勝地地区へ。山は一部が紅葉】

 県道伊賀青山線に合流し、妙楽地地区へ。バス停脇から北側の集落へ進み、しばらくすると、道は塀や民家に挟まれた路地になり、遠くに青山高原の風車が望めました。県道に戻り、小川を渡ると瀧地区に入ります。急坂を上り、墓参りの女性とあいさつを交わし、午前11時ごろに滝仙寺へ到着しました。

【滝仙寺の木々の間から滝、妙楽地地区を一望】

 境内にある市文化財の松などを眺めて小休止。今歩いてきた道や集落を眼下に見渡し、坂道の紅葉に目を留めました。県道を来た方角に戻り始めると、強い風で汗が乾いて寒いほどです。新妙楽地橋から木津川を眺めると、川辺の紅葉と相まって秋らしさを感じました。

 広々とした県道は開放感いっぱいに歩けますが、時折大型車も通るため注意が必要です。ゴールまでは残りあと2キロ余り、上津地区市民センター付近で正午を迎え、鳴りだしたサイレンの音量にたじろいでしまいました。電車の走行音が近付き、線路沿いを西へ進むと、伊賀上津駅へ戻ってきました。歩数計は1万2886歩でした。

 こうして地域を歩いてみると、身近な場所でもさまざまな四季折々の表情が見つかるかもしれません。