171114_11.jpg 伊賀市青山羽根に、プラスチック成形をベースに「SMILE KIDS(スマイル・キッズ)」というユニークな生活便利雑貨や防災グッズなどを生産・販売している会社がある。旭電機化成株式会社で、創業は1933年。現在は3代目の原直宏社長(64)が経営を引き継いでいる。【「スマイル・キッズ」の商品を紹介する原社長】


171114_11-2.jpg 本社は大阪市東成区にあり、伊賀には77年に工場を展開、昨年には第2工場も竣工した。年商は約20億円、正社員38人を含め従業員は約120人。先代の実父から社長を継いだのは原社長が大学生の時で「当時、会社は大きな赤字でした。自動車や家電メーカーからプラスチック成形部品の加工を請け負っていましたが、やはり下請け一本では経営は安定しない、メーカーとして自社ブランドの商品を創りたいと考え、その後は商品開発に力を入れてきました」。【女性作業者が多い生産工場】

 その結果、同社の生産品目は、プラスチック加工の受注品が全体の3分の1に減少、病院向けなどの業務用商品が3分の1、残り3分の1を一般消費者向けの自社オリジナル商品が占めている。

 業務用商品の中で、病院や高齢者施設に納めているフードプロセッサーは10年前に開発。当時は全て外国製で、日本人の好むゴボウやワカメなど繊維質の多い食材は粉砕できずに小さな塊が残ったため、市場のクレームが多かったという。

 そこで100回以上の試作を繰り返し、粉砕する刃の材質や角度などに改良を加えた結果、繊維質の多い食材も粉々にでき、お年寄りも誤って飲み込む危険性が少なくなる商品を開発した。受注生産で蓄えた経験や技術が生かされており、今ではこの分野でのトップシェアを確保しているという。

 次に同社のオリジナル商品「スマイル・キッズ」。机の上に並べられたのは、手で押せばお経を唱える「お経が流れるスピーカ」、独りで背中に湿布が貼れる「しっぷ貼りひとりでペッタンコ」、地震の時でも消えたり火事の心配もない電池とLEDを使った「安心のローソク」、剣山のような形状で従来の半分の力で約2倍の搾り汁が出る「レモンしぼり革命」、電話機につなぐと音量が大きくなる「電話の拡声器」、走行中暗くなると自動点灯、止まれば自動消灯する「サイクルライト」など、主婦や高齢者が喜ぶ品がそろう。

 「世の中で、ちょっと欲しいな、これがあったら便利だなというものを作っています。例えば電話の拡声器は、補聴器ほどの性能は要らないが、少しだけ聞こえやすいものをというコンセプトで作りました。値段は補聴器の20分の1です」と原社長。

 「スマイル・キッズ」は全部で220品種もあり、価格は平均2千円前後。毎月1品種ほど増えているという。専門の開発者は7人で、試作品ができるたびに5、6人の主婦に使ってもらい、さまざまな意見をもらう。その後、大阪本社とのテレビ会議でトップからゴーサインが出れば、すぐに商品化する。

171114_11-3.jpg 幸勝利工場長(53)=右写真=は「何よりも品質第一。常に原価を意識しながら作り方を工夫し、トラブルの再発防止にも力を入れています」と話す。

 35年間黒字経営を続け、10年前には無借金経営になった。原社長は「光や振動、赤外線、温度など、さまざまなセンサーを組み合わせて商品化するのが当社の得意技術。知識やアイデアを集約して、次の商品に生かしていく、その繰り返しです。これから生き残っていくためにも、大手企業にはできないオリジナル商品をどんどん開発し、消費者も従業員も皆をハッピーにしていきたいですね」と明るく笑った。

 「スマイル・キッズ」の各商品は、ドラッグストアや雑貨店の他、同社のウェブショップで購入できる。

2017年11月11日付711号12面から