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 障害者の円滑なコミュニケーション手段整備に取り組む名張市は、スマートフォンやタブレット端末のビデオ通話機能を使った聴覚障害者向けの遠隔手話通訳サービスを11月から試用運用する。市によると、県内初めての取り組み。【タブレット端末ごしに手話を見る森下さん=名張市で】

 今年6月、市で「手話その他コミュニケーション条例」が制定されたのがきっかけ。市障害福祉室に市の設置手話通訳者とビデオ通話ができるタブレット端末を配置し、対応するスマートフォンアプリを導入した利用者のスマホや端末から接続することで、画面ごしに手話で対話できる。
 サービスの対象は、市の業務や公共施設の利用に関すること。設置手話通訳者が利用者と市や公共施設の職員を仲介し、対話を補助する。これまで聴覚障害者からの問い合わせは、来庁しての筆談や手話、もしくはファクスやメールが主だったといい、市の設置手話通訳者の善田真美さんは「来庁の手間もなく、迅速な対応ができるようになる」と期待を寄せる。
 事業に向け、市では予備を含むタブレット端末2台を購入。購入代金や使用料などの費用は昨年12月、同市西田原出身で大阪府八尾市の会社役員、森下和美さん(81)が障害者福祉増進のために寄付した500万円から充てた。10月4日、市役所であったデモンストレーションの場では、森下さんも参加し、タブレット端末ごしの手話を眺め、「障害者に向けた新しい事業に役立ててもらえてうれしい」と喜んだ。
 試用運用を経て、業務対象範囲や運用法を検討し、2018年4月1日には本格運用を目指す。利用可能時間は平日の午前8時30分から正午、午後1時から同5時まで。通信料は利用者の自己負担。今後、市報やホームページ、障害者団体を通じて告知する。
 問い合わせは市障害者福祉室(0595・63・7591)へ。
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